土砂災害に備える─命を守るために知ってほしいこと
命を守ることを第1に
ここ数年、7月上旬に大雨特別警報級の豪雨が連続して起きている。
2017年は福岡と大分両県で、2018年は倉敷市真備町や岡山市東部で、2019年には九州南部で、2020年は熊本県などで豪雨災害が発生。
2021年には静岡県熱海市で大規模な土石流が起きた。
いずれも発達した積乱雲が帯状に連なって大雨をもたらす「線状降水帯」が発生し、多くの人命が失われている。
今後、さらに線状降水帯による土砂災害や洪水が発生する危険性が急激に高まっていると警告する気象学の専門家もいる。
豪雨は、梅雨の時期だけでなく台風にも注意が必要だ。
近年の到来する台風は巨大化して豪雨をもたらす傾向にあるといわれている。
本書は、降雨量と土砂災害の関係や土砂災害が起こりやすい場所、避難に関する防災気象情報の読み取り方などを解説する。
そして、どこに災害の危険が潜んでいるか、いつのタイミングで避難すればよいのかを説いている。
著者は、子どもたちにも防災意識を持ってほしいと、防災教育の絵本も作成している。
これまで刊行しているのは、『土砂災害のきほん』『土石流のチカラ』『土砂災害とひなん』の3冊。
どの絵本も、土砂災害がどういうもので、どんなところが危険かを、楽しく読みながら理解できるように工夫されている。
著者の願いは一つ。
子どもや高齢者など大切な人の命を守るために、土砂災害に対する事前の準備をしておき、適切なタイミングで避難してほしいということ。
岡山県内の新見市や吉備中央町、矢掛町で発生した土砂災害を例に、身近なところで起こることを気づかせ、近年発生する土砂災害の傾向を学んでもらおうとしている。
そして、大雨特別警報や大雨警報、大雨注意報などの情報の読み取り方と、避難のタイミングを分かりやすく解説している。