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『旭川を科学するPart3』シリーズ『岡山学』5





●著者名:岡山理科大学『岡山学』研究会
●A5判、並製本、111頁
●定価:1470円(本体1400円+税)
●ISBN978-4-86069-192-9
●発行日:2007年12月16日

●内容
今回のテーマは「旭川」の下流。地球科学や植物学を中心に、岡山平野の地形や植生、水辺の環境などを分析する。
特に、児島湾干拓地の地震対策のための基盤構造を研究し、地震災害に備えた提言は貴重! 
『岡山学』研究会のシリーズ第5弾。

●目次
  一 重力でみた児島湾干拓地の基盤構造と地震災害
          ―次の南海地震に備えて― 西村敬一 
  二 岡山平野の地形―高島地域を中心に― 能美洋介
  三 岡山市北部の二〇年間の森林植生変化 石川笑子・太田謙
  四 水辺環境の不思議を調べる
        ―旭川下流部の氾濫原にて― 北岡豪一・大窪文美
  五 旭川下流域における河原の植物の変遷 波田善夫・藤谷佳代
  六 旭川下流域における環境保全の取り組み 浦上将人

●はじめに
  岡山理科大学『岡山学』研究会が刊行する、シリーズ『岡山学』がこの『旭川を科学するPart3』で五冊目になります。
  岡山理科大学『岡山学』研究会は、一九九九年に岡山理科大学の総合情報学部の教員が中心になって、「岡山」という地域を対象に、自然科学、人文科学、情報科学などいろいろな方向から検討して、明らかにしていこうという目的で作られた研究会です。
  これまで「岡山市朝寝鼻貝塚」、「備前焼」、「吉井川」、「旭川」などをテーマにシンポジウムを開催してきました。そしてシリーズ『岡山学』1として『備前焼を科学する』、同2として『吉井川を科学する』、同3として『旭川を科学するPart1』、同4として『旭川を科学するPart2』を刊行してきました。今回は、昨年開催した第八回『岡山学』シンポジウム「旭川〜流域を科学するパート3〜」を一冊にまとめることにしました。
  「旭川〜流域を科学するパート3〜」では、これまでのパート1と2が上流と中流を扱いましたので、今回は旭川の下流域から児島湾干拓地にかけての地域を対象としました。
  まず、地震学が専門の西村敬一さんに、「重力でみた児島湾干拓地の基盤構造と地震災害―次の南海地震に備えて―」というテーマで、児島湾干拓地の地下構造を重力探査によって明らかにし、次の南海地震に備えるためには表層の軟弱地盤だけでなく、深部の基盤構造も考慮する必要があることを述べてもらいました。
  次に、情報地質学が専門の能美洋介さんに、「岡山平野の地形―高島地域を中心に―」というテーマで、旭川下流域東岸平野部を対象として、数値地形モデル(DEM)を用いて旧河道などを復元し、高島地域の細かな地形について述べてもらいました。
  三番目に、植物生態学の波田研究室の卒業生である石川笑子さんと現在博士課程で研究を進めている太田謙さんに、「岡山市北部の二〇年間の森林植生変化」というテーマで、岡山理科大学周辺の山々の木々や植物がこの二〇年間でどのように変化したのかを、地質・地形などに注目しながら述べてもらいました。
  四番目に、水質が専門の北岡豪一さんと北岡研究室を卒業した大窪文美さんに、「水辺環境の不思議を調べる―旭川下流部の氾濫源にて―」というテーマで、玉柏周辺の旭川の水を七年間にわたって調べた成果をもとに、きれいな湧き水のこと、氾濫源の旧河道のことなどについて述べてもらいました。
  五番目に、植物生態学が専門の波田善夫さんと波田研究室を卒業した藤谷佳代さんに、「旭川下流域における河原の植物の変遷」というテーマで、この約二〇年間に河原の植物がどのように変化したのか、どのような帰化植物が入ってきたのかなどを、土壌との関係も含めて述べてもらいました。
  最後に、つい最近までこの旭川を管理する国土交通省岡山河川事務所の所長をされていた浦上将人さんに、「旭川下流域における環境保全の取り組み」というテーマで、洪水を防ぐための礫河原の再生や百間川における水質浄化などについて述べてもらいました。
  このように今回は、地球科学や植物学を中心に旭川下流域から児島湾干拓地までの地域を検討しました。それらが独立して、また相互に関連しながらこの地域を見ることによって、より多様な旭川下流域の姿が見えてきたのではないかと思います。
  旭川下流域から児島湾干拓地までの地形・植生・水質・環境保全、そして地震対策のための基盤構造の研究など、今回も多様な情報を提供できたのではないかと思います。ご活用いただければ幸いです。

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