写真集「みずしま」−残された自然をたずねて−
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海、空、大地を取り戻す
「公害」からの再生。
レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』(上遠恵子訳、新潮社)の写
真家・森本二太郎が水島の自然を鮮やかに伝える。
●写真・森本二太郎
●企画・編集 財団法人水島地域環境再生財団(みずしま財団)
●判型 B5判変型 並製本4色カバー付き
●ページ数 103ページ
●定価 1680円(本体1600円+税)
●ISBN4-86069-129-6 C0051
●内容
岡山県倉敷市水島。かつて、浅海漁業とイ草や蓮根などの生産で栄えた風光明媚な農漁村地帯だった。戦後、我が国を代表するコンビナートを形成したが、当初の新産業都市整備の「太陽と緑と空間の街づくり」というキャッチフレーズとは裏腹に、おびただしい公害問題をひきおこし、多くの人命や健康、豊かな自然環境や歴史・文化を損なう事態が進行した。
こうしたなか、倉敷公害訴訟は13年の長きにわたる係争を経て、1996年12月、水島コンビナートを形成する被告企業と原告公害病認定患者らとの和解が成立し、水島地域の生活環境の改善のために解決金が使われることで両者は合意した。
子や孫によりよい生活環境を手渡したい−公害患者らの願いに応えるために、損なわれた豊かな生態系や水辺環境とのふれあいを再生する活動が始まった。そして今、その成果
が実を結びはじめた……。
生まれかわりつつある「水島の今」を、レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』(新潮社)で知られる写
真家・森本二太郎が美しい写真で伝える。
■(財)水島地域環境再生財団(みずしま財団)
倉敷公害訴訟の画期的な和解を踏まえて、よりよい生活環境を創造する活動を展開していくために、住民を主体に、行政・企業など水島地域の様々な関係者と専門家が協働する拠点として、設立された財団法人。
■執筆者紹介
●写真
森本二太郎(もりもと・にたろう)
1941年東京生まれ。国際キリスト教大学(ICU)在学中に、筑豊の子どもを守る会の活動などにも関わる中で、土門拳の写
真集『筑豊の子供たち』に出会って強い衝撃を受け、独学で写真を学ぶ。
私立・敬和学園高校(新潟市)で15年間教諭として勤めた後、2年間の準備を経てフリーの写
真家としての歩みを開始。八ヶ岳山麓、妙高山麓、浅間山麓と居を移しながら、自然のいのちの営みに目を注いだ撮影を続ける。
写真集に『四季の息吹き』『高原の輝き』 『静寂の時』 『光のささやき』、写
真・随想集『エデンの森かげ』などがある。 レイチェル・カーソン著『センス・オブ・ワンダー』(上遠恵子訳、新潮社)他、書籍の挿画や表紙カバーなどの写
真も数多く担当。
(社)日本写真家協会会員。長野県在住。
●文
白神加奈子(しらが かなこ)
1976年倉敷市生まれ。倉敷芸術科学大学教養学部卒業、岡山大学大学院教育学研究科理科教育専攻修了後、今にいたる。大学・大学院時代の専門は、鉱物学。2004年に日本鉱物学会櫻井賞奨励賞を受賞。倉敷市立自然史博物館友の会の評議員。現在は、環境学習や資料保存などを担当しているが、他にはGREENDAYや倉敷まちづくりネットワークなど他団体との活動交流が多い。
塩飽敏史(しわく としふみ)
1975年岡山市生まれ。岡山大学大学院文化科学研究科行動科学専攻修士課程修了。学生時代の専攻は、地理学。恩師である森瀧理事長に誘われて現職にいたる。現在は、海底ゴミの問題やアマモ場の再生を中心とした、瀬戸内海の環境再生を担当している。自分の名前との因縁を感じる今日この頃。日本環境学会幹事。
藤原園子(ふじわら そのこ)
1974年札幌市生まれ。京都府立大学大学院で住環境科学を専攻、産業公害地域における地域再生手法や、市民参加プロセスの研究等を行う。大学時代、書店で『センス・オブ・ワンダー』に出会い、愛読書となる。大学院終了後、財団設立準備会に参加。語り部活動としての記録映画制作などに携わり、現在に至る。2005年3月、倉敷市まちづくり論文優秀賞を受賞。
●目次
水島の現在−コンビナートとともに
里山
身近な自然
海
干潟
年表
●本文より
「写真家の森本二太郎さんに、水島に残っている自然を撮影していただいた。どんな場所があり、どんな写
真になるのか、楽しみであり,不安でもあった。森本さんの腕には全く不安は無かったが、「残っている自然」というのがあるのか不安であった。
しかし,できあがった写真をみると,これ本当に水島?という場所が並び,驚いた。瑞々しく、暖かく、穏やかな写
真。森本さんの人柄が現れているのだろうが、それでも、水分いっぱいの風景に感動し,この風景は大事にしたいと思った。
私たちの活動は、すぐに目に見えた効果があらわれるとは限らない。それでも、青い空,瑞々しい水のまち、水島を目指していきたい。
やっぱり、水島は「water island」でいいのだ。」
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