岡山の地神様
岡山県内には、「地神様」と呼ばれる石碑が各地に点在し、県内には五角柱の石碑、県北には地神様と彫られた自然石の碑に分類できる。
著者は特に県南の五角柱に注目し、その分布の調査をしながら、その発生とその意味を解読していく。
農耕の神とも言われるこの石碑の意味を見直し、今忘れ去られようとしている農業と自然への畏怖を見直そうとする現代人への警鐘の書。
目次
はじめに 3
五角柱地神碑のプロフィール 13
呼び名 13
分布 13
刻まれた神々 15
信仰 16
祭日 16
地神講 17
建立の動機と時期 18
第一部 五角柱地神碑探検記 |なぜ探検記なのか|
第1歩 これまでの五角柱地神碑情報 (その一) 23
第2歩 これまでの五角柱地神碑情報 (その二) 24
第3歩 これまでの五角柱地神碑情報 (その三) 26
第4歩 これまでの五角柱地神碑情報 (その四) 27
第5歩 地神碑出現期の時代背景 29
第6歩 農村の荒廃 29
第7歩 近代への序章 〔寛政期〕 31
第8歩 出現初期の五角柱地神碑 (その一) 33
第9歩 出現初期の五角柱地神碑 (その二) 36
第10歩 藩営新田における五角柱地神碑の建立状況 39
第11歩 五角柱地神碑の展開過程 40
第12歩 歴史空間天保九年 (一八三八) と社日思想 47
第13歩 天保期の農村 49
第14歩 倉益の五角柱地神碑と藤原操南 50
第15歩 地神碑建立を伴う精神運動の展開 52
第16歩 岡山と香川の間 54
第17歩 備中型五角柱地神碑 (倉敷タイプ) 57
第18歩 備中神楽・修験者・地神碑 59
第19歩 備中型五角柱地神碑 (矢掛タイプ) 61
第20歩 児島五流 63
第21歩 倉敷市内の特色ある地神碑 65
第22歩 矢掛町内の特色ある地神碑 66
第23歩 日蓮宗地帯の地神碑 (瀬戸町内の四角柱地神碑 その一) 68
第24歩 日蓮宗地帯の地神碑 (瀬戸町内の四角柱地神碑 その2) 70
第25歩 日蓮宗地帯の地神碑 (瀬戸と長船を結ぶもの) 71
第26歩 日蓮宗地帯の地神碑 (佐伯町) 75
第27歩 日蓮宗地帯の地神碑 (岡山市妹尾周辺) 76
第28歩 法華経信仰の潮流 78
第29歩 県中北部の五角柱地神碑 81
第30歩 江戸終末期から明治へ 84
第31歩 地神碑探検の途上で (その一) 87
第32歩 地神碑探検の途上で (その二) 89
第33歩 探検の最後に 90
第二部 各地域の五角形の地神
邑久町及びその周辺 94
瀬戸町及びその周辺 115
岡山市内 128
平井地区 129
市街中心部 135
藩営新田 141
幸島新田 142
倉田新田 148
沖新田 156
倉敷市 171
矢掛町 185
井原及び笠岡市 203
第三部 地神信仰の現実と幻影
考察 (その1) 210
考察 (その2) 212
考察 (その3) 215
結語 217
資料1 220
資料2 特徴的地神碑の分布概要 221
資料3 223
資料4 225
五角柱地神碑分布図 232
邑久町及びその周辺/瀬戸町及びその周辺/岡山市平井地区/岡山市街中心部/幸島新田
倉田新田/沖新田/倉敷市/矢掛町/井原及び笠岡市
あとがき 252
著者プロフィール
- 正富 博行
昭和24年 邑久郡邑久町に生まれる。
昭和48年 関西外国語大学外国語学部スペイン語学科卒
著書 『邂逅』 (私家版 平成元年刊)天竜川水系をはじめとして各地において民俗調査を実施する。
その間、 これまでの日本社会を支えてきた多くのお年寄りに出会い、 彼らのライフヒストリーに耳を傾け、 それらを記録してきた。
本書のテーマである五角柱地神碑は、 少年時代からの疑問であったものを矢掛町の民俗調査をきっかけに探求し、 二十数年ののち一応の結論を得たものである。
本書の執筆過程で、 すべての事象が地下水脈の如く底流でつながっていることを実感した。
※上記内容は本書刊行時のものです。