春ちゃん
Haru the Schoolgirl
広島の原爆の記憶を書き残している森本マリアさんの最新作。
放射能を浴び、死んでいった女の子の話です。
その日、疎開先から広島市内の家へ着替えを取りに帰っていた春ちゃんは、朝、空がパッと光ったその瞬間、気を失います。
一命を取り留め、母親に背負われ疎開先に戻ったものの、春ちゃんの顔色は黄色になり、髪が抜けはじめます。
いつも一緒に遊んでいた友達の異変。
坊主頭になってしまった春ちゃんの顔や手には紫色の斑点が広がり、
お母さんに抱かれたまま永遠の眠りにつきます。
著者の記憶に今も残る悲しい思い出。
薄れつつある記憶を呼び起こしながらつづった切り絵絵本です。
目次
名札を付けて/戦いの音/のどかな風景/怖い夜/月月火水木金金/腹ぺこだった/願いを込めて/空が見える防空豪/不思議じゃのう/夏/死んだような街/日本晴れ/夢の中で/必死/地獄/日本ヨよイ国 花ノ国/玉音放送/紫の斑点/お母さぁん/永遠の眠り
あとがき
著者プロフィール
- 森本 マリア
1934年生まれ。
国民学校6年生の時、広島の原爆を体験。
戦争中の実体験をブラックライトを使った紙芝居に描き、学校や公民館で上演。戦争中の生活や戦争中の学校での様子を語り続ける。
広島市安佐北区在住。著書に『音が消えた時』『こどもの目』『小一郎ぎつね』『ゆきちゃんが見たピカドン』(いずれも吉備人出版)など
※上記内容は本書刊行時のものです。