疎開生活絵巻
戦後間もない昭和20年の10月、新潟県で疎開生活を送っていた少女は、先生のすすめのまま当時の暮らしぶりを絵に描きました。
そこには、空腹や下痢、シラミに悩まされながらもたくましく日々を生きる10歳の少女の姿と時代と人々の暮らしに対する感性がにじみ出ています。
戦後70年を経て、偶然にも段ボール箱の奥から私たちの前に現れたこの絵巻は、同時代を過ごした人々には懐かしく、そして当時を知らない世代にとっては貴重な資料です。
私たちは、絵本(絵巻)を通して、少女に映った戦中・戦後の疎開生活を追体験できるのです。
著者プロフィール
- 石田 米子
1935年4月東京で生まれ。
1945年3月東京大空襲の後新潟県に集団疎開し、敗戦後東京に戻る。
中国・アジアの変革に関心を持ち、大学に進学して東洋史を専攻。
以後現在に至るまで研究対象は主に中国近・現代史。
1980年岡山大学文学部(東洋史)の教員となり、東京から岡山に移住。
2001年定年退職後、現在も岡山市北区に定住。
岡山大学名誉教授。
岡山に来てから市民としてたずさわった問題には、在日外国人の指紋押捺問題や住民権の問題、女性差別や民族差別などの差別の問題、日本軍性暴力(「慰安婦」・戦時性暴力)被害者を支援する活動などがあり、岡山の多くの市民や女性たちと支えあう関係をつくっている。1996年秋から、かつて日本軍に占領された中国山西省の村の女性たちの被害の聞き取りに年2回村に通い、支援と調査研究の活動は今も続けている。
戦争にかかわる共著に『黄土の村の性暴力――大娘たちの戦争は終わらない』(創土社、2004、山川菊栄賞受賞)、『ある日本兵の二つの戦場――近藤一の終わらない戦争』(社会評論社、2005)がある。
※上記内容は本書刊行時のものです。