発明家 磯崎眠亀 錦莞莚を彩る文様デザイン
明治初期、備後備中(現在の岡山県南部)の藺草、藺草製品の製造の衰退を見て、茶屋町の事業家・磯崎眠亀は高品質で雅な茣蓙(ござ)「錦莞莚(きんかんえん)」を織ることのできる織機を開発した。
しかし、豪華な錦莞莚は、国内では売れなかった。
神戸の濱田篤三郎氏が海外での販売を始めたことから飛ぶように売れはじめ、貿易額の上位を占める製品となり、地域の藺草製品の隆盛を取り戻すことに成功したのである。
錦莞莚はなぜ受けいられたのか、本書はその文様に焦点を当て、「ものづくり」における意匠・デザインの力を探ったのが本書である。
目次
序… ……………………………………………………………………………………………………… 3
第1章 はじめに………………………………………………………………………………… 7
第2章 磯崎眠亀の織機の開発技術と生産性… ………………………………… 9
第3章 模様、文様の歴史的背景… ……………………………………………………12
3-1 綿織物における文様 13
3-2 ペルシャ絨毯等に描かれている文様[19?27] 15
3-3 現在中華料理店で見られる文様は、実は歴史的な文様 17
3-4 文字の文様 18
3-5 線分、縞文様 19
3-6 家紋 20
3-7 明治14年から18年に出版された模様集 20
第4章 錦莞莚に描かれている文様……………………………………………………22
4-1 植物文様(花) 24
4-2 植物文様(花以外) 38
4-3 動物文様 44
4-4 花菱文様 58
4-5 松皮菱文様 62
4-6 幾何学文様 66
4-7 波形文様 75
4-8 各種文様 78
4-9 ペルシャ応用文様 91
4-10 文字による文様 97
4-11 線分による文様 102
4-12 ガードによる文様 130
第5章 おわりに……………………………………………………………………………… 150
参考文献 153
著者プロフィール
- 大﨑 絋一
工学博士、岡山商科大学副学長
1941(昭和16)年岡山県倉敷市茶屋町早沖生まれ。1966(昭和41)年岡山大学大学院理学研究科修了。岡山大学工学部助教授、教授を経て、2005(平成17)年から名誉教授。その間、理事・副学長、学長補佐、工学部長、図書館長、岡山大学地域共同研究センター長を歴任。2006(平成18)年岡山商科大学教授、そして2007(平成19)年副学長、産学官連携センター長、図書館長、社会総合研究所所長、現在に至る。
経営工学を専門とし、人、ロボット、機械による「ものづくり」作業の生産性向上の教育研究と企業等への普及、「サービス」作業の生産性向上の研究に従事。中日経営工学国際会議日本側代表(1991~2010)、岡山県産学官連携センター長(2007~2013)、岡山地区生産システム懇話会会長(2002~現在)を務める。(社)日本経営工学会2001(平成13)年5月論文賞、2003(平成15)年5月学会賞、(社)日本工業教育協会2003(平成15)年8月教育貢献賞受賞。
※上記内容は本書刊行時のものです。