備中和紙
岡山県指定重要無形文化財保持者である著者が和紙づくりの技と心を綴った貴重本。
「備中和紙」の原料や道具、紙漉きなどの製法の細部を豊富な写真と詳細な文章で記録!
末尾に備中和紙8種の作品も収めた。
目次
はじめに
生いたち
幼少時代
東京陸軍航空学校時代
陸軍航空通信学校時代
実戦部隊勤務の始まり
復員当時
丹下家の婿養子となる
和紙造り入門
清川内紙の由来とその後
和紙造りの心と技
和紙原料の栽培と収穫
楮
三椏
雁皮
「のり」の原料
黄蜀葵の栽培と収穫
のりうつぎ
和紙の造り方と道具
原料の煮熟から晒しまで
塵撰りとスクリンの設置
紙漉き用具と叩解の器具
脱水・乾燥・截断の用具
脱水の方法/乾燥用具/截断器具
製法細部
原料の煮熟
木灰煮/石灰煮/ソーダ灰煮/苛性ソーダ煮
原料の晒し
石灰煮の川晒し/木灰煮の川晒し/ソーダ灰炊きの晒し/
苛性ソーダ煮の晒し/薬品晒し
塵撰り
叩解
手打法/動力による叩き/解きほぐす
紙漉きに備えて
道具拵え/トロロ拵え/簀による紙の相違/舟を立てる
流し漉きの技法
化粧水の汲込み/向う揺り/中揺り/調子をかける/捨て水
湿床付け
漉き上げ
寒漉きの良さ
漉き手の心得
脱水の心得
湿紙の乾燥
木の板による天日乾燥/蒸気による鉄板乾燥
紙の手切法
染色(天然染料による染色)
植物染料による染色/填料による染色
填料混入の紙
補助原料混入の紙
清川内紙中折について
備中漆
あとがき
感謝を込めて(先輩方の思い出)
著者プロフィール
- 丹下 哲夫
大正13年、岡山県川上郡平川村に生まれる。
昭和15年東京陸軍航空学校に入校し、昭和19年に陸軍軍曹に昇進。
終戦後の昭和21年、家業の手漉き和紙の製作技術を受け継ぐ。
昭和39年に成羽川ダム建設のため倉敷市に移転。
昭和53年、東大寺の写経用「鳥の子紙」の抄造を依頼される。
昭和57年に「備中和紙」が岡山県伝統的工芸品に指定を受ける。
昭和59年に黄綬褒章と伝統的産業振興協会賞受賞を受章。
平成 16年に岡山県重要無形文化財に認定、平成20年に福武文化賞を受賞。
※上記内容は本書刊行時のものです。